コ・サムソク──東国大学先端融合大学碩座教授、大統領直属国家人工知能戦略委員会委員、国会議長諮問委員(文化・放送・ICT)、元韓国放送通信委員会常任委員
2026年9月14日にZDNet Koreaに掲載された韓国語の原文をK-EnterTech Hubが翻訳

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コラム全文の翻訳。本文、構成、見出しは韓国語の原文に従い、筆者の文章に加筆はしていない。原文に付いていた2枚の写真説明もそのまま掲載した。
▶ 韓国語原文──「[コ・サムソクのコラム]Kコンテンツの次のパートナー、中央アジアと『共進化』すべき」ZDNet Korea、2026年9月14日
Kコンテンツのグローバル戦略に変化が必要な時期だ。これまでKコンテンツのグローバル化を語るときに主に使ってきた言葉は「輸出」だった。韓国で良いコンテンツを作り、海外のプラットフォームや流通網を通じて世界市場に売る。K-POP、ドラマ、映画、ウェブトゥーンがこのモデルで目覚ましい成果を上げてきたことは、誰もがよく知っている。
だがKコンテンツが世界の舞台でもう一段飛躍し、持続可能な産業になるには、いまや問いを変えなければならない。「次はどこに売るか」ではなく「誰と何を作るか」を考えるべきだ。その観点で私が注目している地域が中央アジアである。
光州エースフェアの公式行事として開かれた「Kコンテンツ・アカデミー・フォーラム(KOCAF)中央アジア・コンテンツ協力フォーラム」には、韓国、カザフスタン、キルギスのメディア・コンテンツの専門家が集まり、協力の方策を議論した。フォーラムの司会を務めながら確認したのは、中央アジアがもはやKコンテンツの周辺市場ではないということだ。若い人口、デジタルとモバイルに親しんだ利用者、独自の歴史と文化資産、そして韓国文化への高い関心がある。韓国とともにコンテンツを作り、それを再び世界市場に送り出す大きな可能性を持つパートナーだ。
「市場」ではなく「パートナー」としての中央アジア
中央アジアのコンテンツ市場に対する私たちのアプローチは、いまも「Kコンテンツをどれだけ輸出できるか」にとどまっている。だがその見方だけでは、持続可能な協力のエコシステムを築くのは難しい。コンテンツはほかの商品と違い、文化と感情の影響を強く受ける。したがってローカライズは、翻訳や吹き替えをうまくやるだけでは完成しない。その社会の歴史と価値観、家族観、ユーモア、さらには世代の感性まで理解し、受け入れることが求められる。
このフォーラムで紹介されたカザフスタンとの協力事例は、それをよく示している。同国初のK-POPコンサートはチケット発売と同時に完売し、韓国とカザフスタンの制作会社の協力は映画やリメイクの共同制作へと発展した。その過程で得た教訓は明確だ。相手国の文化をまず理解しなければならない、良い現地パートナーが良いコンテンツを作る、そして一回限りのプロジェクトより持続可能な協力の構造が重要だ、ということである。まさにここで「共進化(Coevolution)」という概念が重要になる。
共進化とは、一方が作って他方に売る関係ではない。異なる強みを持つ主体が協力の過程でともに変化し、成長し、そこから新たな価値を生み出すことだ。コンテンツ産業に当てはめれば、韓国の企画・制作力、技術、グローバルネットワークと、中央アジアの物語、人材、多様な文化資産を組み合わせることを意味する。一言で表せば、「Made in Korea」から「Made with Central Asia」への転換である。

共同制作を越え、「共同所有のIP」へ
韓国と中央アジア諸国がコンテンツ分野で共進化するには、第一に、協力の目標を単なる共同制作ではなく、IPの共同開発に置くべきだ。真の共同制作とは、制作費を分け合ったり撮影地を共有したりする水準を越え、創作の主導権とIPを実質的に分かち合うことである。特にグローバルなストリーミングサービスの時代には、IPの所有権と活用権が長期的な産業競争力を左右する。このフォーラムでも、国際共同制作の核心は資源とリスクの分散だけでなく、市場へのアクセスの拡大、戦略的なIPの配分、創作の主導権にあると強調された。
たとえば韓国の制作会社がカザフスタンやキルギスのクリエイターと企画段階からドラマ、バラエティ、アニメーションを共同開発し、IPを共同で所有すれば、双方が当事者になる。作品はグローバルなストリーミングサービス、YouTube、FASTを通じて流通させ、成果も分かち合える。
このフォーラムで紹介された「食」は、とりわけ興味深い出発点だ。食は歴史と文化、観光とライフスタイルを同時に内包し、言葉の壁も比較的低い。韓国と中央アジアの食、人、歴史を組み合わせた「フード・ファクチュアル」のフォーマットを共同所有のIPとして開発すれば、アジアを越えた世界市場でも十分に競争力を持ちうる。
AIとエンターテックの協力も新たな軸
第二は、AIとコンテンツ技術を組み合わせたエンターテックの協力だ。中央アジアを技術の需要国としてだけ見てはならない。カザフスタンのメディア企業はすでにニュース、音声、デザインなど放送制作の工程でAIを積極的に活用し、制作工程を短縮して人員をより創造的な仕事に集中させる実験を行っている。カザフスタンでは、国際AIセンター「ALEM.AI」を中心に新たにAIエコシステムを築く動きも出ている。フォーラムに参加したほかの中央アジア諸国も、アニメーションを含むコンテンツ制作でAIを積極的に活用している事例を紹介した。
韓国が持つAI、バーチャルプロダクション、XR、没入型コンテンツの技術を中央アジアの文化資産と組み合わせれば、新しい形の協力が可能になる。AIによる多言語コンテンツの制作とローカライズ、共同のバーチャルプロダクションスタジオ、文化遺産のXRコンテンツ化、AIを使ったアニメーションの共同制作が代表的な分野だ。
中央アジアのシルクロードと遊牧文化、自然環境、歴史の物語は、グローバルなコンテンツの優れた源泉だ。韓国が技術を、中央アジアが物語を提供するという単純な役割分担を越え、技術と物語そのものを最初からともに設計する共創のエコシステムを築かなければならない。
結局、共進化の核心は「人」
第三に、クリエイターと人材の交流は、政府や産業界の協力と同じくらい重要だ。このフォーラムでキルギスとの協力を議論しながら、私は記者、プロデューサー、脚本家、技術スタッフといった若いコンテンツ人材の相互交流の必要性を提起した。互いの文化と制作現場を体験させることは、長期的には放送番組の売買よりはるかに重要な投資になりうる。キルギスやほかの中央アジア諸国との人的交流の領域は、AI、バーチャルプロダクション、XRといった新しい制作技術にまでさらに広げる必要がある。
政府の役割も変わらなければならない。政府は自らコンテンツを作ったり、民間の創造性を過度に規制したりするのではなく、民間が安心して協力できる制度基盤──共同制作協定、共同ファンド、人材交流、IP保護、精算の仕組み──を整える役割にもっと集中すべきだ。
結局、韓国と中央アジアのコンテンツ協力は、コンテンツの輸出→ローカライズ→共同制作→共同所有のIP→共同のグローバル展開という段階を経て発展すべきだ。なかでも最後の段階が特に重要である。目標は韓国のコンテンツを中央アジアにもっと売ることではない。韓国と中央アジアがともに作ったコンテンツを、東南アジアや中東、欧州、さらには世界市場へと送り出すことだ。これまでのKコンテンツのグローバル化が「韓国で作って世界に送り出す」ことだったとすれば、これからは「世界とともに作り、より広い世界へ出ていく」ことでなければならない。
中央アジアには、若いクリエイター、独特の文化、そしてまだ十分に掘り起こされていない数多くの物語がある。そこに韓国のコンテンツ企画・制作力、AIとエンターテックの技術、グローバルな流通網を組み合わせれば、これまでになかったコンテンツと市場を生み出せる。Kコンテンツの次の飛躍は、私たちのコンテンツを愛してくれる海外の国々とともに作り、ともに所有し、ともに世界へ出ていくときに可能になるだろう。その意味で中央アジアは、コンテンツの共進化戦略をともに進める理想的なパートナーになりうる。
コ・サムソク──東国大学先端融合大学碩座教授/国家人工知能戦略委員会分科委員(koss21@naver.com)
© ZDNet Korea. 原文の出典を明記のうえ、K-EnterTech Hubが翻訳・掲載。
編集部注──K-EnterTech Hubによる補足で、コラムの一部ではない
「2026光州エースフェア(アジア・コンテンツ&エンターテインメントフェア in 全南・光州)」は9月10〜13日、金大中コンベンションセンターで文化体育観光部と光州広域市の主催により開かれた。第2回Kコンテンツ・アカデミー・フォーラムは9月11日に光州で開かれた。KOCAFは韓流コンテンツの専門家の協力プラットフォームとして2024年2月に設立された。
このコラムの掲載から2日後の9月16日、ソウルで初の韓国・中央アジア首脳会議が開かれ、2007年に始まった閣僚級の協力体が首脳級に格上げされる。
大統領府が9月11日に公表した協力分野は、重要鉱物・エネルギーのサプライチェーン、未来産業、税関・規制・知的財産、インフラ・プラント、AI・デジタル・科学技術、気候・水・災害対応、テロ・麻薬・サイバー犯罪対策で、コンテンツと文化は含まれていなかった(ファイナンシャルニュース、アジア経済、9月11日)。
編集部注の参考資料
1.「第2回Kコンテンツ・アカデミー・フォーラム、11日に光州で開催」K-Heritage News
2. 2026光州エースフェア 展示概要
3.「Kコンテンツ・アカデミー・フォーラム第2期執行部が発足」Eroun
4.「李大統領、16日にソウルで『韓・中央アジア首脳会議』を主宰…『ソウル宣言』発表」ファイナンシャルニュース、2026年9月11日
5.「李大統領、14〜16日に初の韓・中央アジア首脳会議…重要鉱物のサプライチェーンを拡大」アジア経済、2026年9月11日